タッチ決済とは、国際ブランドが展開するクレジットカードの非接触型決済のことです。
ブランドにより「コンタクトレス決済」と呼ぶことも。
決済端末にクレジットカードをタッチするだけで支払い完了するので、現在世界中で普及が進んでいます。
本企画では、タッチ決済のやり方やメリット、電子マネーとの違いを解説。さらにタッチ決済ができるおもな国際ブランドも紹介します。
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目次
タッチ決済とは?1000人に認知度をアンケート調査
タッチ決済とは、決済端末にクレジットカードやスマホをかざすだけで支払いが完了する非接触型決済のこと。従来の決済と違い、支払いのときにカードを端末に差し込むことなく、タッチするだけで買い物が終わるのでとても便利です。
こうした特徴から、カード会社はタッチ決済対応カードに切り替え、街中でもタッチ決済に対応した店舗や決済端末の数が増えています。
【1000人アンケート調査】タッチ決済の認知度は全世代で「知っているが使うことがない」がトップ
コロナ禍を機に一気に普及が進んだタッチ決済ですが、世間の認知度はどうなっているのでしょうか。
今回は20〜60代の男女1000人を対象にタッチ決済を使ったことがあるか独自に調査し、世代別の認知度をグラフにまとめてみました。
【アンケート調査概要】
調査会社:株式会社アスマーク
調査期間:2022年9月2~9月5日
対象者:1956~2004年生まれのクレジットカードユーザー
対象人数:1000人
対象:新人類世代(1956~1964年生まれ)、バブル世代(1965~1969年生まれ)、氷河期世代(1970~1983年生まれ)、ロスジェネ世代(1984~1995年生まれ)、Z世代(1996~2004年生まれ)、各世代200人ずつの回答
※世代ごとの生まれ年の定義は編集部考案
全世代で「知っているが使うことがない」という人が最も多い結果になりました。
生まれながらのデジタルネイティブと呼ばれるZ世代でも、タッチ決済を「よく使う」と回答したのは36人だけしかいません。
年代が上がるにつれ「何か知らない」と回答した人も増えてきています。現状だとそこまで浸透しているとは言いがたい状態といえます。
2025年に開催される関西・大阪万博でのインバウンド需要を見込んで、現在VISAは全国各地の公共交通機関でタッチ決済の導入を拡大しています。
こうした背景から、今はタッチ決済を使う人は少なくても、SuicaやPASMOを使う感覚で当たり前のように利用される日はそう遠くないでしょう。
日本ではいつから?タッチ決済の歴史
クレジットカードのタッチ決済の歴史は、2000年代前半にさかのぼります。
海外でのタッチ決済の歴史変遷
2002年 | アメリカ | マスターカードから非接触決済サービス「MasterCard PayPass(現Mastercardコンタクトレス)」が登場 |
2004年 | マレーシア | VISAが非決済接触サービス「Visa Wave」をでスタート |
2007年〜 | 世界規模 | 「Visa payWave(現VISAのタッチ決済)」の提供を開始 |
2007年 | アジア圏の国 | JCBが「J/Speedy(現JCBのタッチ決済)」をスタート |
2011年〜 | オーストラリアなど | 「Visa payWave」がオーストラリアの大手スーパーで導入されたことを機に利用者を増やし、イギリスやカナダ、シンガポールなどでも普及 |
日本では、2019年頃から5大国際ブランドのタッチ決済の導入が本格的に始まり、新型コロナウイルスの感染防止対策で全国のコンビニやスーパー、飲食店、商業施設などでタッチ決済対応端末の設置台数が一気に増加しました。
VISAが2020年12月に発表した調査によると、2020年9月時点で昨年同月と比較してタッチ決済の取引件数はスーパーが約30倍、コンビニが約8倍にも上ります。
タッチ決済を利用するメリット4つ
タッチ決済を利用する代表的なメリットは4つあります。ここからは1つずつメリットを一緒に確認していきましょう。
メリット1.サインレスだから決済が早い
暗証番号の入力やサインの記入が必要ないため、わずか数秒で決済が完了。お店が混雑する時間帯でも支払いがサクサク終わって便利です。
しかも、暗証番号のボタンを押したり端末にカードを差し込む必要がないので、新型コロナウイルスをはじめとする感染防止対策としてもいい点でしょう。
ただし、国内でのタッチ決済の上限金額は原則1万円の場合が多く、それ以上の金額で買い物するときはタッチ決済でもサインや暗証番号の入力が必要なので注意しましょう。
また、タッチ決済の支払い回数は一括だけで、分割払いやリボ払いには対応していません。
メリット2.不正利用を防止できる
タッチ決済機能があるクレジットカードには、ICカードの国際規格である「EMV」技術が搭載されています。
「EMV」技術が搭載されたカードは、持ち主の個人情報を暗号化してICチップに保管するため、従来の磁気カードと比べて情報漏えいや不正利用のリスクがかなり減るでしょう。
そもそも、決済のときに暗証番号の入力やサインの必要がないので、大事な個人情報を盗み見される心配もありません。
メリット3.ポイントがたまってお得
ほとんどのクレジットカードで、利用金額に応じてポイントが加算されるポイントサービスを用意しています。たまったポイントは現金と同様に使用したり、商品券やマイルなどと交換できたりします。
そのため、コンビニやドラッグストアでちょっとした日用品を買うときでも、現金ではなくタッチ決済で支払いをすませた方がお得です。通常の決済よりもタッチ決済の方がポイントアップとなるクレジットカードもあります。
メリット4.スマホでも決済可能
主要国際ブランドのタッチ決済は、Apple PayとGoogle Payに対応しているので、スマホでも決済可能です。
クレジットカードをApple PayやGoogle Payに登録し、スマホをかざすだけで決済が完了するので、買い物のたびにバックから財布やクレジットカードを取り出す必要がありません。
またスマホでのタッチ決済は、クレジットカード以外にもiDやSuicaなどの電子マネーもあります。両者の大きな違いは、クレジットカードが後払い方式(ポストペイ型)であることに対し、電子マネーは事前にチャージを行う(プリペイド型)が多いことです(※)。
※iDやQUICPayなどクレジット系電子マネーは後払い、SuicaやPASMOなど交通系電子マネー&nanacoなど流通系電子マネーは事前チャージ。
タッチ決済のやり方!クレジットカードとスマホ、それぞれを解説
タッチ決済のメリットがわかったところで、次はタッチ決済のやり方を確認しましょう。
VISAを例に、クレジットカードとスマホのタッチ決済の方法を解説します。
クレジットカードでタッチ決済する方法
事前にお店のカードリーダーにタッチ決済のマークがついているか確認しておきましょう。その後は以下の方法で決済します。
- お支払いの際に店員に「Visaのタッチ決済で」と伝える。
- カードリーダーにクレジットカードをタッチ。
セルフレジの場合は、決済端末のタッチパネルで「クレジットカード」を選択し、決済端末にカードをかざすだけです。
スマホでタッチ決済する方法
スマホを使ったタッチ決済も、クレジットカードとやり方はほとんど同じです。
ただし、スマホでタッチ決済をする場合は、事前にApple PayやGoogle Payにタッチ決済機能があるクレジットカードを登録しておく必要があります。
その後は、以下の方法でタッチ決済をやってみましょう。(iPhoneを例に紹介)
- 店員に「Visaのタッチ決済で」と支払い方法を伝える
- iPhoneのホームボタンがある機種の場合(iPhone8以前)⇒ ホームボタンをダブルクリックして指紋認証し、Apple Payを起動して対象のクレジットカードを選択
ホームボタンがない機種の場合(iPhoneX以降)⇒ サイドボタンをダブルクリックし、Face IDで認証するかパスコードを入力してApple Payを起動。対象のクレジットカードを選択
*Androidの場合はロック解除やアプリ起動の必要ななし - カードリーダーにスマホをタッチ
クレジットカードのタッチ決済と電子マネーの違い
クレジットカードのタッチ決済と混同されやすいのが、SuicaやiDなどの電子マネーです。
ここでは、それぞれのおもな特徴と違いについて見ていきます。
クレジットカードのタッチ決済と電子マネーの大きな違いは以下の2点です。
クレジットカードのタッチ決済 | 電子マネー | |
海外で使える | ◎ | △ |
チャージの必要 | なし | ありのものが多い |
大きな違いとしては、クレジットカードのタッチ決済は海外でも使えるのに対し、電子マネーはほぼ日本でしか使えない点です。
また電子マネーのうちSuicaなどの交通系とnanacoなどの流通系は、事前にチャージして使う必要があります。電子マネーでもiDやQUICPayなどクレジットカード系は、タッチ決済と同様に後払いでの処理です。
タッチ決済を展開する、おもなクレジットカードの国際ブランド
知名度の高い5大国際ブランド各社のクレジットカードのタッチ決済について調べてみました。
ブランド名 | 特徴 |
Visaの タッチ決済 | ・世界約200ヵ国で利用可能 ・タッチ決済対応加盟店の数も海外・国内の両方で豊富 ・幅広い国と地域で使いたい人におすすめ |
Mastercard コンタクトレス | ・ヨーロッパを中心に世界約200ヵ国で利用可能 ・国内でのタッチ決済対応店舗はやや少ない ・ヨーロッパ圏の海外出張や海外旅行をする人におすすめ |
JCBコンタクトレス | ・日本発の国際ブランドなので国内でのシェアが高い ・地方のデパートやショッピングセンターで利用可能 ・JCBユーザーでポイントを貯めたい人におすすめ |
アメックスの タッチ決済 | ・日本、アメリカ、イギリス、シンガポールなどで利用可能 ・対応加盟店は多いが、一部提携カードは対応していない ・旅行、ホテルなどの優待サービス・特典を受けたい人におすすめ |
ダイナースクラブ コンタクトレス | ・5大ブランドのなかでは比較的加盟国が少ない ・他の国際ブランドとくらべタッチ決済対応店舗はやや少ない ・海外出張が多い人や優待サービス・特典を受けたい人におすすめ |
Visaのタッチ決済
Visaのタッチ決済は、世界で約200の国と地域で普及。2020年9月時点のVisaの公式発表によると、世界中での対面決済におけるタッチ決済の比率が43%であることが判明しました。
公共交通機関へのタッチ決済導入にも積極的で、世界で280以上の公共交通機関で利用できます。
国内でも利用できる場所が多く、Visaのタッチ決済が使えるお店や交通機関は以下です。
さらに、Google Payに対応する数少ない国際ブランドです。
幅広い国と地域でタッチ決済を利用したい人には、Visaのタッチ決済がおすすめです。
Mastercardコンタクトレス
マスターズカードのタッチ決済は、「Mastercardコンタクトレス」といいます。国際ブランドの中でいち早くタッチ決済サービスを開始し、ヨーロッパ圏を中心に約200の国と地域で利用できることから、海外での普及率は高いと予測できます。
しかし、国内で使える店舗は都市部が中心で、Mastercardコンタクトレスに対応したカードもそれほど多くありません。
※一部店舗は利用不可
よって、ヨーロッパを中心に出張や旅行に行く機会が多い都市部在住の人におすすめできます。
JCBのタッチ決済(JCBコンタクトレス)
日本発の国際ブランドなだけあってJCBのタッチ決済(JCBコンタクトレス)は、関西や東海、中国地方などのローカルエリアの百貨店やショッピングセンターなどでも普及が進んでいます。
国内での対応店舗が多いせいか、プロパーカード以外でもANAカードやオリコカード、ジャックスなどタッチ決済対応カードを続々と増やしています。
VISAやマスターカードと比べて海外の加盟店数が少ないので、国内でしか利用しない人や西日本エリアに住む人に使い勝手のよいカードといえるでしょう。
アメックスのタッチ決済
海外旅行保険や旅行系優待サービスが充実しているアメリカン・エキスプレス(以下、アメックス)のタッチ決済は、他のブランドで対応していない飲食店やドラッグストアで利用できるメリットがあります。
また首都圏だけでなく、関西方面や中国地方の地域密着型のショッピングモールでアメックスのタッチ決済が使えるお店もあります。
しかし、プロパーカード以外でタッチ決済に対応しているのは航空会社の提携カードなど一部に限定。金融機関や小売店のアメックス提携カードは、まだタッチ決済に対応していません。
タッチ決済対応加盟店の数はそれなりにあっても、提携カードがまだ少ないので、どちらかというと海外に行く機会が多い人におすすめです。
ダイナースクラブ コンタクトレス
ダイナースクラブのタッチ決済は、「ダイナースクラブ コンタクトレス」と呼ばれています。
ステータスカードとして人気があるものの、タッチ決済が使えるお店は首都圏のお店やチェーン店が中心です。
※一部店舗は利用不可
また、プロパーカード以外でダイナースクラブ コンタクトレスに対応する提携カードも少なめです。
ただし、ダイナースクラブは高級レストランや高級ホテルなどの特別優待や割引サービスなどが充実しており、海外旅行や国内旅行の保険が手厚いことで有名です。
首都圏在住で豪華な特典を受けたい人にダイナースクラブ コンタクトレス決済はぴったりでしょう。
タッチ決済ができる、おもなクレジットカード6選
現在、5大国際ブランドでタッチ決済に対応する加盟店を拡大中です。それにともない、タッチ決済機能がついたクレジットカードの種類も増えています。
タッチ決済に対応しているクレジットカードの中でも、ポイント還元率が高いものや豪華な特典で人気のあるカードを6つ紹介します。
タッチ決済機能があるクレジットカード6選
カード名 | 三井住友カード(NL) | イオンカードセレクト | 楽天カード | JCB CARD W | ダイナースクラブカード | アメリカン・ エキスプレス・ グリーン・ カード |
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特徴 | ・セキュリティ性が高い ナンバーレスカード ・最短10秒 i で※即時発行ができない場合があります。 即時発行 | ・イオングループ各店舗で WAONで支払うと常に 還元率が1.5% ・年間50万円以上の利用 で、無料でゴールドカード を発行可能 | ・楽天市場のポイント還元率3倍 ・海外旅行傷害保険あり (死亡後遺障害最高2000万円) | ・一般的なJCBカードの ポイント2倍 ・Amazonやスターバック などの60以上の特約店で さらに多くのポイントが 貯まる | ・国内外の空港ラウンジが 無料 ・会員限定イベントを多数 開催 ・ポイントの有効期限が ない | ・月会費1,100円とステータス の高いアメックスカードが 気軽に使える。 ・JCB加盟店と連携しているの で国内でも使える店舗多数 |
年会費 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 24,200円 | 月額1,100円 |
タッチ決済 | Visaのタッチ決済 Mastercardタッチ決済 | Visaのタッチ決済 Mastercardコンタクトレス JCBのタッチ決済 | Visaのタッチ決済 Mastercardコンタクトレス | JCBのタッチ決済 | ダイナースクラブ コンタクトレス | アメックスのタッチ決済 |
スマホ決済 | Apple Pay Google Pay | Apple Pay | Apple Pay Google Pay | Apple Pay | Apple Pay | Apple Pay |
還元率 | 通常:0.5% スマホのタッチ決済:最大7.0% i
※iD、カードの差し込み、磁気取引は対象外です。 ※商業施設内の店舗など、一部ポイント加算の対象とならない店舗があります。 ※一定金額(原則1万円)を超えると、タッチ決済でなく、決済端末にカードを挿しお支払いただく場合がございます。その場合のお支払い分は、タッチ決済分のポイント還元の対象となりませんので、ご了承ください。 上記、タッチ決済とならない金額の上限は、ご利用される店舗によって異なる場合がございます。 ※通常のポイントを含みます。 ※ポイント還元率は利用金額に対する獲得ポイントを示したもので、ポイントの交換方法によっては、1ポイント1円相当にならない場合があります。 | 通常:0.5~1.0% タッチ決済:最大5.0%(※) | 通常:1.0% タッチ決済:1.5% | 通常:1.0~5.5% タッチ決済:1.0~5.5% | 通常:0.4%~ タッチ決済:0.4%~ | 通常:0.3~1.0% タッチ決済:0.5~1.0% |
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この記事のまとめ
コロナをきっかけに国内で急激に普及が進んだクレジットカードのタッチ決済。普及にともないタッチ決済の認知度が上がってきたものの、今回の独自アンケートの結果で「まだ使ったことがない」という人がたくさんいることがわかりました。
タッチ決済には次の4つのメリットがあります。
- サインレスだから決済が早い
- 不正利用を防止できる
- ポイントがたまってお得
- スマホでも決済可能
使いこなせるようになると何かと便利なタッチ決済。まだ使ったことがない人は、やり方を参考にしてチャレンジしてみるのもいいでしょう。
参考サイト
ITmedia「MasterCardの非接触クレジットカード、オリコが実験」
JCBリリース「JCBとVisa、海外の非接触IC決済の仕様共用化に合意」
ダイヤモンドZAi「Visa payWave」が日本に本格的に上陸か!?海外で使えるポストペイ(後払い)型の電子マネーが2020年の東京オリンピック開催を背景に普及の兆し
ITmedia「NFC決済サービス「三井住友カード Visa payWave」、9月スタート」
SQUARE「タッチ決済 (非接触型決済)とは?歴史・メリット・導入方法をご紹介」
VISA「2020年を総括Visaのタッチ決済、国内における普及が急速に拡大」