クレジット機能なしでETCカードのみの機能をもつカードのことをETCパーソナルカードといいます。
ETCパーソナルカードは審査不要で発行でき、
「クレジットカードを発行したくない」
「クレジットカードの審査に自信がない」
という人におすすめです。
しかしクレジットカード付帯のETCカードと比較すると、
年間コストやデポジットの手間などの観点から、クレジットカード付帯のETCカードの方が利便性が高いと言えるでしょう。
項目 | クレカ付帯のETCカード | ETCカードのみ |
---|---|---|
デポジット | なし | あり 3千円〜 |
年会費目安 | 0〜500円 | 1,257円(税込) |
発行手数料目安 | ほとんど無料 一部カードは1000円 | なし |
発行の手間 | Web申込 | SAか電話で申込書を入手し返送 |
審査 | あり | なし |
ETCカードのみを利用するメリットやデメリット、利用する際のポイントについて明らかにしていきましょう。
この記事で分かること
- クレジットありとクレジットなしのETCカードの違い
- ETCカードのみの作り方
- ETCカードのみを作るメリット・デメリット
目次
ETCカードのみを作成できる「ETCパーソナルカード」とは
画像引用:ETCパーソナルカードWebサービス
ETCカードのみで作れるカードを探している人には、ETCパーソナルカードがおすすめです。
<ETCパーソナルカードの基本情報>
対象者 | 個人 |
---|---|
審査の有無 | 無 |
年会費 | 1,257円 |
発行にかかる費用(デポジット) | 3,000円〜*1 |
限度額 | デポジットの100% |
支払い方法 | 口座振替のみ |
締切日 | 月末 |
支払日 | 翌月27日(金融機関休業時は、翌営業日) |
使える範囲 | 有料道路利用のみ |
*22023年3月から限度額の見直しが行われ限度額がデポジットの80%から100%に改正。詳しくはこちら
ETCパーソナルカードは、高速道路株式会社6社により共同で発行されており、審査なしで作れるクレジットカード機能なしのETCカードです。
クレジットカードを持っていなくても作れますが、月額利用料金に応じたデポジットや年会費が必要になる点に注意しましょう。
ETCカードのみを個人が審査なしで作成できる
ETCパーソナルカードの特徴は、個人が審査なしで作れる点です。クレジットカード付帯のETCカードは、クレジットカード発行のための審査が必要になります。
そのため、発行するタイミングによっては、審査が通りにくく発行できない場合もあるのです。
ETCパーソナルカードでは、事前に保証金(デポジット)を預けておくことで審査なしでETC利用が可能です。そのため、過去に多重債務や自己破産してクレジットカードが作れない人でも発行できます。また、ETCパーソナルカードは法人カードの代用としても利用が可能です。
ETCパーソナルカードが使える高速道路
ETCパーソナルカードは、クレジットカードを契約しない人もETCを利用できるように発行されているカードであり、国内で利用できない地域はありません。
ETCパーソナルカードにはクレジット機能がありません。そのため、高速道路の通行料金支払いのみに使用できるカードになっています。
全国どこでも使用できるため、車やバイクで遠出する場合にも気軽に利用できて便利です。
クレジットありとクレジットなしのETCカードを比較
「クレジットカードに付帯されるETCカード」と「ETCパーソナルカード」を比較した場合、どちらにより大きなメリットがあるのでしょうか。
結論から言うと、明らかにクレカに付帯されるETCカードです。自己破産や債務整理後など、特別な事情があってクレジットカードを作れない方を除けば、クレカ付帯のETCカードを使う方がより簡単で、コスト的にもメリットがあります。
では実際に、クレカ付帯のETCカードとETCパーソナルカードの比較表を見てみましょう。
デポジット | 年会費の目安 | 発行手数料の目安 | 発行の手間 | 審査 | |
---|---|---|---|---|---|
クレカ付帯のETCカード | なし | 0~500円 | ほとんど無料。一部カードは1000円 | カンタン Web申込可 | あり |
ETCカードのみ (ETCパーソナルカード) | あり 3千円~ | 1,257円 (税込) | なし | 面倒 SAか電話で申込書を入手し返送 | なし |
「クレジットカードに付帯されるETCカード」と「ETCパーソナルカード」を比較した場合、大きく異なるのは次の3点です。
(1)クレジットありのETCカードは初期費用が安い
クレカ付帯のETCカードであれば、年会費は500円程度であることがほとんど。また、発行手数料も一部のクレジットカードを除けば無料です。
一方、ETCパーソナルカードの場合、「審査がない」というメリットはあるものの、発行時に最低3千円のデポジット金が必要です。加えて1,257円(税込)の年会費もかかるため、初期費用としては高いと感じる人もいるでしょう。
(2)ETCパーソナルカードはWeb申し込みができない
クレカ付帯のETCカードはWebから簡単に申し込めるのに対し、ETCパーソナルカードは申込書を入手するところから始めなければなりません。
申込書はインターネット経由で請求できないので、電話をして取り寄せるか、サービスエリアなどに取りにいく必要があります。Web申し込みと比べると、かなりの手間だといえるでしょう。
ただし、ETCパーソナルカードにはメリットもあります。ETCパーソナルカードにはクレジットカードのように審査がありません。デポジット金などが必要になるものの、審査に自信がない方にとってはプラスといえるでしょう。
(3)クレジットありのETCカードはポイントの2重取りでお得
クレジットカード付帯のETCカードを利用するメリットには、クレカを利用したときに付与されるポイントとETCマイレージサービスのポイントの両方がもらえるという点があります。
ETCパーソナルカードでもETCマイレージサービスを利用できますが、クレカ独自のポイントを貯めることはできません。
クレカのポイント還元率はカードによって異なりますが、仮に1%還元のカードを利用して毎月1万円分高速道路料金を支払ったとすると、1年間で1200ポイントも貯まります。ちょっとしたランチに行くことができるレベルですね。
このようにさまざまな条件を考え合わせると、クレジットカードが使える場合はクレカ付帯のETCカードを作る方が断然オトクだといえます。ETCカード発行におすすめのクレジットカードは多く、扱うポイントや還元率などもバラバラです。ぜひ自分に合うクレジットカードを選んでみてくださいね。
ETCパーソナルカードの作り方
ETCパーソナルカードは、審査不要で作れます。
クレジットカード機能が不要な人は、ETCカードのみ早く作りたいと考えるかもしれませんが、郵送での手続きとなるため、すぐに発行はできません。
パーソナルカードを作る手順は下記のとおりです。
上記手順を踏むことで、ETCパーソナルカードを発行できます。ETCパーソナルカードを作る前に、手順を確認しておきましょう。
なお、本人確認書類は原則運転免許証のみです。運転免許証記載の住所が現住所と一致している必要があるため、住所変更手続きが済んでいない人は免許証の住所変更をしておきましょう。
Webの申込フォームに必要事項を入力する
ETCパーソナルカードの申込には、Webの申込フォームにて必要事項を入力し、申込書を作成しましょう。
▲Web申込フォームに必要事項を入力
Web申込フォームでの必要事項は下記のとおりです。間違いのないように入力しましょう。
申込フォームでの入力が終わったら、プリンターで申込書をコピーしてETCパーソナル事務局あてに郵送します。なおプリンターがない場合には、ETCパーソナル事務局に問い合わせることで申込書を郵送してもらうことも可能です。
デポジット金を入金する
ETCパーソナルカードを利用するためには、デポジット金(保証金)を預託する必要があります。申込フォームにて、金額設定が可能です。月内で自分がどれくらい高速道路を利用するのか確認したうえで設定しましょう。
申込書を郵送すると、入力した住所宛にデポジット金を入金するための払込取扱票が届きます。届いた払込取扱票を持って、コンビニや郵便局でデポジット金を支払いましょう。
また、実際の利用金額が申請時よりも多くなった場合、追加のデポジット金額を求められる場合があるため注意が必要です。
ETC車載器を用意しカードを受け取り後に使用可能になる
デポジット金を支払い、2週間ほどでETCパーソナルカードが郵送にて届きます。カードが手元に届いたその日から、ETCカードとして利用可能です。
なお、ETCの利用にはセットアップされたETC車載器が別途必要になります。ETC車載器は、カー用品店やカーディーラー、Amazonや楽天などの通販サイトで購入可能です。
直接店舗で車載器を購入するメリットとしては、コストはかかりますが取り付けやセットアップ作業を行ってくれることでしょう。
Amazonや楽天などの通販サイトでの購入では、自分で取り付ける必要がありますが、コストは抑えられます。ETCパーソナルカードが届くまでに準備しておくとよいでしょう。
ETCパーソナルカードの有効期限に注意する
ETCパーソナルカードには、クレジットカード付帯のETCカード同様に有効期限があります。ETCパーソナルカードの場合は、券面表面右下に有効期限が印字されているため確認しておきましょう。
有効期限が切れていると、カードを利用できません。ゲートを通行しようとしても、有効期限が切れていてスムーズに通り抜けられないという事態が発生する可能性もあるため、注意しましょう。
ETCパーソナルカードを作る3つのメリット
ETCパーソナルカードの特徴は、クレジットカード付帯ではないため審査が不要であることです。そのため、クレジットカードの発行が難しい人でも作れるメリットがあります。
その他メリットが複数あるため、それぞれの詳細を明らかにしていきましょう。
上記のように、ETCパーソナルカードにはさまざまなメリットがあります。上手く活用することで、月々の利用料金を抑えられるでしょう。
ETC割引が受けられる
ETCカードの利用で、『深夜割引』や『休日割引』といった割引サービスが受けられます。
割引率 | 条件 | |
---|---|---|
深夜割引 | 30% | 全日0〜4時 |
休日割引 | 30% | 地方都市区間で土日祝日 |
平日朝夕割引 | 最大50%還元 | ・平日6〜9時 平日17〜20時 ・毎月(1日~末日)の対象走行回数によって変動 |
ETCパーソナルカードを使用する場合でも、ETC付帯のクレジットカード同様に割引サービスが適用されます。距離や時間帯によっては料金が大きく変動するため、長距離移動で高速道路を利用する人にとって恩恵が大きいサービスです。
10円ごとに1ポイントのマイレージポイントが貯まる
ETCカードを持っている人は、ETCマイレージサービスに登録することでマイレージポイントが貯まっていきます。
ETCマイレージサービスは、ETCカードとセットアップされたETC車載器を持っている人であれば誰でも登録できる、登録費用や年会費が無料のサービスです。
ETCマイレージサービスでは、ETCを利用して支払った金額に応じたポイント(通行料金10円ごとに1ポイント)が付与されます。貯まったポイントは、還元額と交換でき通行料金の支払いに使用可能です。
また、登録したETCカードはどのETC車載器で使用してもマイレージポイントが付与されます。そのため、レンタカーを利用した場合でもマイレージポイント付与対象になる点が嬉しいポイントです。
ETCカードだけの利用明細が発行できる
ETCパーソナルカードでは、インターネットでいつでも月ごとのETC利用履歴を確認できます。そのため、月ごとの高速道路利用料金を可視化でき管理しやすいメリットがあるのです。また領収書は、過去15ヶ月間までの利用履歴を検索できるため、領収書を確認し忘れてしまった月も、あとから確認できます。
なお主要パーキングエリアでは『ETC利用履歴発行プリンタ』が設置されています。ETCカードを挿入することで、該当履歴の利用明細書を印刷することも可能です。領収書の発行完了までに行う操作はシンプルで、簡単に発行できます。
ETCパーソナルカードを作る3つのデメリット
ETCパーソナルカードを上手く利用するためには、デメリットを知っておくことも重要です。
ETCパーソナルカードを作ると、クレジットカード機能が付帯したETCカードよりも費用が高くなってしまう可能性も生じます。デメリットの詳細について、しっかり確認してからカードを作るようにしましょう。
最低3,000円のデポジット(保証金)がかかる
ETCパーソナルカードは、利用するためにデポジット(保証金)を預ける必要があります。また、デポジットの金額は、月平均利用額の4倍を支払わなければいけません。支払ったデポジットは、解約時に全額返金されますがデポジットの支払いは2万円以上になると、2万円単位で支払う必要があります。
たとえばETC利用額が月7,000円だった場合、4倍すると28,000円です。しかしデポジット支払いは20,000円単位のため40,000円が必要になります。月々1〜2回の利用でも高額のデポジットが必要になる場合があるため注意が必要です。
年会費はETCの利用に関わらず1,257円かかる
クレジットカード付帯のETCカードの多くは、年会費が無料で利用できます。しかしETCパーソナルカードは、ETC利用の有無に関わらず、年会費1,257円の支払いが必要です。
長期的な利用を考えている場合、8年で合計10,000円以上の年会費が必要になってしまいます。ETCカードでの出費を最小限にしたいと考えている人は、利用料金やデポジット以外に年会費も発生することも覚えておきましょう。
年会費が気になる人は、ETCパーソナルカードは短期間の使用にとどめ、ETCカードへの移行を検討してみてください。
クレジットありのETCカードよりも初期費用が高くなりやすい
ETCパーソナルカードでは、高速道路の利用料金以外にデポジットの支払いや年会費の支払いが必要になります。クレジットカード機能付帯のETCカードとは違い、ETCパーソナルカードは利用の有無に関係なくデポジットや年会費の支払いが必要のため注意しましょう。また、ETCカードを利用するためには、セットアップされたETC車載器も準備しなければいけません。
デポジットは解約時に全額返金されますが、ETC利用料金以外の支払いが発生してしまいます。そのため、クレジットカード付帯のETCカードよりも初期費用が高くなりやすいのです。
ETCパーソナルカードについて知っておきたい5つのポイント
ETCパーソナルカードは、審査不要で利用できる便利なカードですが、利用方法によってはカードの利用が停止されてしまうケースがあります。
下記にまとめたETCパーソナルカードの知っておきたいポイントをチェックしておきましょう。
1.ETCパーソナルカードの支払い方法は口座振替のみ
ETCパーソナルカードは、口座振替のみ支払いが可能です。月末までの利用料金が、申込時に登録した金融機関の口座から翌月27日に引き落とされます。
また、27日が金融機関の休業日の場合は翌営業日の引き落としとなります。
月々の料金の支払いは、デポジットからの充当がないため注意しましょう。
2.法人向けETCカードの発行が可能
ETCカードは、法人で使えるものも発行可能です。法人向けETCカードのメリットは、有料道路の通行料金が大幅割引になることです。高速道路の利用頻度が高い会社の場合、法人向けETCカードを利用することで経費削減にもつながるでしょう。
また、法人向けETCカードは、複数の車両で利用できます。社員それぞれにETCカードを渡しておくことで利用料金をまとめられるため、管理しやすいのも魅力の1つです。
3.個人事業主が使えるETCコーポレートカード発行が可能
ETCパーソナルカードは、個人事業主でも発行できます。
利用できる車両を最初にカードに登録するETCコーポレートカードの場合、登録した車以外で使うことはできません。
一方で、大口割引が受けられるのは個人事業主にとって大きなメリットです。首都高速・阪神高速の利用料金の月額に応じて、10~20%の割引サービスを受けられます。
個人事業主でも作りやすいETC専用カードを発行しているのは、高速情報協同組合とETC協同組合です。
クレジット審査がないため作りやすいカードですが、組合によっては独自の審査があるため発行できないこともあります。
しかし、ETC割引を利用することで現金払いよりも支払う料金が安くなりコスト削減につながるのです。
領収書を発行することで、月々の高速道路料金の使用状況を確認できるのもETCカード利用のメリットのため、個人事業主であれば発行しておくとよいでしょう。
4.デポジットは解約時に返金される
ETCパーソナルカードは高速道路の利用料金に応じて、デポジットを支払わなければいけません。デポジットは20,000円単位の支払いになるため、一時的に高額の費用が発生してしまいます。
しかし、事前に支払ったデポジットは未納料金がなければ、ETCパーソナルカード解約時に全額返金となります。また、あくまでデポジットは保証金ですので、利用料金を引かれることはないことを覚えておきましょう。
5.デポジットや利用料の未払いで強制解約や利用停止になる
ETCパーソナルカードは、場合によっては強制解約や利用停止になることもあります。
「毎月利用料金を支払っているのに、強制解約になってしまった」という人は、利用月額分のデポジットを支払っていない可能性があります。
登録した当初よりも月額利用料金が増えて、デポジット金額も増額している場合があるため注意しましょう。増額依頼の連絡が来た場合は速やかに相応のデポジット金額を支払いましょう。
ETCパーソナルカードの使い方
ETCカードのみのパーソナルカードの使い方は、デポジットや年会費の支払いを除けば、クレジットカードが付帯したETCカードと使用方法に違いはありません。
いざETCパーソナルカードが手元に届いても使い方がわからなければ利用できないため、カードが届くまでにチェックしておきましょう。
ETCパーソナルカードをETC車載器に差し込む
ETCカードを利用するためには、セットアップされた車載器にETCカードを挿入します。車載器にETCカードが挿入された状態であれば、高速道路出入口でのETC専用ゲートを通り抜けられます。
また、時間や曜日による割引サービスを受けたい場合は、車載器を購入しておきましょう。車載器を利用することで、無線走行が適用条件の割引サービスの適用が受けられます。
ETCレーンを通過する
車載器にETCカードを挿入していれば、無線走行が可能となりETCレーンが通過できるようになります。
なおETCパーソナルカードを持っていても、車載器を持っていない人もいるでしょう。その場合、一般車両の通行と同じように高速道路の入口で通行券を取り、一般の出口から出ます。
一般の出口から出るときにETCパーソナルカードを提示することで、車載器がなくても利用可能です。ただし、車載器無しの利用では各種割引が適用されない場合があります。そのため、割引サービスを受けたい人は車載器の購入をおすすめします。
記事のまとめ
ETCパーソナルカードは、クレジットカード機能や審査なしで利用できるETCカードです。クレジットカード機能が付帯したETCカードより初期費用がかかる可能性があるため、必要な初期費用や目的を考えてパーソナルカードを発行しましょう。
なかにはクレジットカード機能が付帯した年会費無料、審査不要で即日作れるETCカードもあるため、使いやすいカードを選んでみてください。