近年、法律婚以外の方法でパートナーシップを結ぶカップルが増えてきています。事実婚を選ぶ異性カップルや同性カップル。さまざまなスタイルがありますが、家計の管理はどのように行なっているのでしょうか?
法律婚をしている夫婦はクレジットカードとその追加カードである“家族カード”を利用し、支出を共同管理する傾向にあります。
どんなカップルでも生計を同一にしていれば、“家族カード”を発行することができるのですが、事実婚のカップルも利用しているのでしょうか。
そこで今回は法律婚以外(性別関係なし)の人を対象に、「家族カード(クレジットカード)の利用実態」に関する調査を実施。
実際に家族カードを持っている人に“発行理由”や“良かった点”についても聞いています。
目次
■アンケート調査概要
【調査概要】「家族カード(クレジットカード)の利用実態」に関する調査
【調査対象】調査回答時に法律婚以外(性別関係なし)であると回答したモニター
【調査人数】539人
【調査期間】2024年6月3日(月) ~2024年6月5日(水)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供するPRIZMAによるインターネット調査
【調査元】暮らしのマネー百貨
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ
事実婚カップルの71.4%が家族カードを発行できることを知らない…!?
「法律婚以外でも家族カードを発行できることを知っているか」聞いてみたところ「知っていた」と回答した人は28.6%、「知らなかった」と回答した人が71.4%という結果が出ました。
事実婚カップルでも家族カードを発行できることは、まだ広く認知されていないようです。
これはクレジットカード会社の課題でもあるかもしれません。
家族カードを持っている事実婚カップルは24.8%にとどまる
「家族カードを持っているか」聞いてみたところ、持っている事実婚カップルの割合は24.8%でした。
つまり、前述した「家族カードを発行できることを知っていた人(28.6%)」は、ほぼ持っている計算になります。
検討したことがあるものの発行していない人は、どんな懸念があったのでしょうか。
家族カードを「持っていない」と回答した人の詳しい理由を探ってみましょう。
家族カードを持っていない理由は発行できることを知らない人がほとんど
「家族カードを発行しなかった/していない理由(上位3つまで)」を聞いたところ、「事実婚でも家族カードが発行できることを知らなかった(209人)」と回答した人が一番多い結果になりました。
事実婚でも家族カードを発行できることが認知されれば、持ちたい人が増えるかもしれません。
一方で「財布事情を共有したくない・別れた時のことがよぎった」というように、パートナーと家計の共同管理をすることが、むしろデメリットに感じる場合もあるようです。
家族カードを発行した理由は家計を共同管理するため
家族カードを持っていると回答した人に、「家族カードを発行した理由(複数回答可)」を聞いたところ「家計の一元管理(68人)」と回答した人が最も多く、次いで「ポイントやマイルを効率良く貯められる(64人)」と続きました。
割合としては「家計の一元管理」と回答した人が、対象者全体の半分以上である50.8%を占めています。
「家計の管理」に関する理由は、生計を共にする間柄であれば(法的な婚姻関係の有無に関わらず)当然のこととも言えます。
家族カードを発行して良かったことはポイントやマイルが貯まったこと
「家族カードを発行して良かったこと(複数回答可)」を聞いたところ、「ポイントやマイルが効率的に貯まった(60人)」と回答した人が最多になりました。
「ポイントやマイルが効率的に貯まった」と回答した割合は、対象者全体の44.8%を占めています。
良かった点のほとんどは法的な婚姻関係の有無に関わらず当てはまりそうな内容ですが、「一体感や社会的証明」など事実婚ならではの回答も見られました。
実際に寄せられたコメントの一部を紹介します。
事実婚カップルの家計管理は「項目別に支払いを分担」が最多
事実婚カップルの家計の管理方法は、光熱費や食費など「項目別に支払いを分担」が41.0%と最多になりました。
次いで、「ふたりのお金を1つにまとめ、ふたりともお小遣い制(15.4%)」「どちらか一方がお金の管理、もう一方がお小遣い制(15.4%)」と続きました。
最多の割合を占めた項目ごとの分担は、どちらかが多く支払っている場合もあります。
パートナーやご自身のどちらかが多く負担することに対して気掛かりが生じるようなら、回答にもあるように二人のお金を1つにまとめたり共通の口座を作ったりすると過ごしやすいかもしれません。
事実婚カップルの生活費の支払い方法は現金が多い
「毎月の生活費(固定費や食費など。趣味やレジャーの費用は除く)の支払い方法(複数回答可)」を聞いたところ、「現金(口座引き落としを含む)(380人)」と回答した人が最も多く、次いで「クレジットカード決済(323人)」と続きました。
割合としては、現金派が全体の70.5%、クレジットカード派は59.9%です。
事実婚カップルでも家族カードを発行できることが広く知られれば、現金派とカード派の結果が入れ変わってくるかもしれません。
約2人に1人が家族カードを今後利用したいと回答
「今後、家族カードを使用したいか」聞いたところ、「非常に利用したい」「やや利用したい」を合わせると、51.6%の人が今後家族カードを利用したいと思っていることが明らかになりました。
一番多かったのは「やや利用したい(33.0%)」、次いで「あまり利用したくない(27.6%)」と続きました。
今回のアンケートをきっかけに、家族カードが家計管理の一つの手段として選択肢に入ったことがうかがえます。
一方で家族カードに対して積極的に思わない人たちがおよそ半数いるのも事実です。家族カードは便利なツールではありますが、家計管理の価値観をパートナーとすり合わせることが重要です。
家族カードを申請する際に不安に思うことは「審査」
「家族カードの申請に不安はあるか(上位2つまで)※既に持っている人は別会社で家族カードを作る場合を想定」聞いたところ、「法的な結婚証明書がなくても審査は通過するのか(179人)」というとに対して不安を感じる人が最も多い結果になりました。
家族カードの申請における不安は、書類や法的問題などの懸念からが多く、これが家族カード発行への大きなハードルになっているようです。
しかしそこまで不安に思うことはありません。
カード会社のなかには、「生計を同一とする配偶者(内縁の相手方・同性パートナー含む)は家族カードが発行できる」とはっきり明記しているところもあります。
<事実婚でも家族カードが発行可能なカード会社>
楽天カード
対象者:18歳以上の生計をともにする配偶者(内縁の相手方・同性パートナー含む)・両親・子供
(2024年9月25日 時点)
JCB CARD
本会員となる方が既にJCBカードをお持ちの場合、生計を同一とするパートナー(国際婚・事実婚・同性パートナー(LGBT))は姓が異なる場合でも家族カードを申し込みできます。
(2024年9月25日 時点)
この記事のまとめ
今回の調査で、家族カードを持っている事実婚カップルは約2割ということがわかりました。
家族カードの利用者がおよそ2割にとどまった一番の理由は、事実婚カップルでも家族カードの発行ができることを知らなかったためです。
(およそ7割の人が発行できることを知らなかったと回答)
一方で、すでに家族カードを持っている人は「ポイントやマイルが効率的に貯まった」など一般的に言われるメリットに加えて、「家族として一体感が増した」「社会的証明になった」などカードの所有自体に意義を感じてるケースもありました。
家族カードの審査や申請で問題が生じないか、事実婚ならではの発行に対するハードルや不安はさまざま。しかし「生計を同一とするパートナー」であれば、家族カードはどんなカップルでも発行することができます。
家族カードの発行を検討しているのであれば、まずはお手持ちのカード会社へ問い合わせてみてはいかがでしょうか。